IR

投資家情報

個人投資家の皆様へ

当社は「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、「システムインキュベーション事業」を展開しております。

当社のシステムインキュベーション事業とは、主にAI(注1)やビジュアライゼーション(注2)、その他ビッグデータ(注3)を取扱う市場における研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機等のハードウエアの提供といった当社オリジナルソリューションを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスとなります。
具体的には、当社が認定とトレーニングを受けているグローバルコンピューティングカンパニー(注4)の最新のテクノロジーと、提携しているグローバルベンダー(注5)の製品を顧客の課題に合わせて適宜組み合わせ、ハードウエア等の企画・設計から構築・運用支援までのサービスをワンストップで提供いたします。企画・設計のフェーズでは顧客の課題をヒアリングし、最新のテクノロジーを組み合わせたオリジナルモデルの設計と提案を行い、そして構築のフェーズでは提案したハードウエアの提供に加えて、ハードウエアを効果的かつ効率的に動作させる環境の構築を行っています。更に運用支援フェーズでは、ハードウエアの保守・メンテナンスに加えて、継続的な開発環境のアップデートサービスを提供しシステムの性能向上を図ります。
また、顧客の課題を解決する際に生み出された解決方法(ハードウエアやソフトウエア、その組み合わせ)をセミオーダー化して他の同様の課題を持っている顧客へソリューションサービスとして提供しております。

(1)当社のサービスの特徴について

当社の事業は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントでありますが、「DXサービス」及び「Service & Support」の2つのサービスを提供しております。
「DXサービス」はソリューション提供のフローのヒアリングから環境設定までを対象としており、主なサービス内容としては顧客の課題解決に適したハードウエア及びソフトウエアの提供と、ハードウエアを効果的かつ効率的に動作させる環境の構築であります。ハードウエアの提供形態についてはオンプレミス(注6)のみならずクラウドやレンタルといった形態で提供するサブスクリプション(注7)サービスを提供しており、多様な顧客ニーズに柔軟に対応することが可能であります。
「Service & Support」はソリューション提供のフローの運用支援を対象としており、当社の「DXサービス」を提供した顧客に対して、常に最新で安定したシステムをご利用頂くためにハードウエアの保守と、継続的な開発環境のアップデートを組み合わせた運用支援を提供しております。当社の顧客は研究開発を行っている顧客が多く、その後の安定稼働は重要な顧客ニーズとなっており、そのニーズに沿ったソリューションとして、この「Service&Support」を提供しております。

サービス区分 主なサービス内容
①DXサービス AI・ビジュアライズソリューションサービス
その他DXソリューションサービス
サブスクリプションサービス
②Service & Support ハードウエアの保守
継続的な開発環境のアップデート

①DXサービス

DXサービスとして「a. AI・ビジュアライズソリューションサービス」と、「b. その他DXソリューションサービス」を提供しております。加えて、ソリューションの提供方法もクラウドやレンタルでの導入を可能にする「c.サブスクリプションサービス」も提供しております。

a. AI・ビジュアライズソリューションサービス

AIサービスを開発・運用するための製品やサービスの提供である「AIソリューションサービス」と、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行うための製品やサービスである「ビジュアライズソリューションサービス」の2つで構成されています。

AIソリューションサービス

AIソリューションサービスは、AIサービスを開発・運用する顧客を対象としています。
AIの開発では現在Deeplearning(注8)という手法が一般的に用いられており、当社ではDeeplearningを用いたAIの開発や運用に適した仕様のハードウエアと、Deeplearningで使用するソフトウエア(フレームワーク)、そのフレームワークを使いやすく設定したオリジナルのツールを組み合わせたターンキーシステム(電源を入れたらすぐに使えるシステム)を開発・組立・販売しています。

AIソリューションサービスの主なモデルは以下のとおりです。

分類 モデル名 概要
当社オリジナル製品 DeeplearningBOXシリーズ 主にAI(Deeplearning)の学習(注9)を行うためのワークステーション(注10)
当社オリジナル製品 InferenceBOX 主にAI(Deeplearning)の推論(注11)を行うためのエッジ端末(注12)
NVIDIA Corporation
(以下「NVIDIA社」という。)
製品
DGXシリーズ 主に大規模なAI(Deeplearning)の学習を行うためのアプライアンスサーバー(注13)
ビジュアライズソリューションサービス

ビジュアライズソリューションサービスは、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行う顧客を対象としています。CAD(注14)やCAE(注15)、コンピューターグラフィックスの制作やデジタルサイネージ(注16)で利用するグラフィックワークステーションの組立・販売や、当該事業を行っている顧客に対して、仮想空間上で作業を行い、結果を共有できるNVIDIA社のサービスOmniverse(注17)の環境構築とライセンス提供を行っています。

ビジュアライズソリューションサービスの主なモデルは以下のとおりです。

分類 モデル名 概要
当社オリジナル製品 GWSシリーズ CAD、CAE、CGに利用可能なグラフィックワークステーション
BOXX Technology社製品 ワークステーション CAD、CAE、CGに利用可能なグラフィックワークステーション
NVIDIA社製品 Omniverse 仮想空間で作業と結果を共有できるサービスライセンスの提供とその環境構築

b.その他DXソリューションサービス

その他DXソリューションサービスは、データを大量に保管しておくための記憶装置(高速大容量ストレージ(注18))の組立・販売や、高速にデータを送受信するための広帯域ネットワーク(注19)機器の販売・設定、ハードウエアの利便性を高めるためのソフトウエアの販売・設定、及びそれらを組み合わせたシステムの設計や構築となります。

c.サブスクリプションサービス

当社のソリューションサービスはユーザーが資産として購入し、自社内で利用するオンプレミスによる提供の他に、レンタルやクラウドなどの「サブスクリプションサービス」として提供しております。
当社のクラウドサービスの特徴は仮想化(注20)しないベアメタルクラウド(注21)であるという点です。従来の仮想化を基盤としたハイパーバイザー(注22)型のクラウドサービスは、低コストやスケーラビリティ(注23)などのメリットがある反面、物理環境の性能劣化が避けられません。一方当社のベアメタルクラウドは、その利用用途がAI、ビジュアライゼーション、HPC(注24)などの分野であることを想定し、従来のクラウドサービスにおける予算内でのフレキシブルな利用などのメリットをある程度享受しつつ、1ユーザー占有のベアメタルを仮想化されていない状態で提供することで、物理環境の性能劣化がなく、オンプレミスと同等の性能を実現することを主眼としています。更に、ベアメタルクラウドでは1ユーザーが1台の機器を占有することができるためセキュリティ面でも大きなメリットがあります。
また、顧客のご要望に応じてクラウドではなく、レンタル形式で物理サーバーを提供するサービスも行っています。半導体の技術革新は猛烈なスピードで進化しており、18カ月から24カ月で新しいアーキテクチャ(注25)に置き換わります。当社の顧客は先端の研究開発を行っているユーザーが多く、常に最新の開発環境を利用して研究開発のスピードをあげることが重要なニーズとなっており、これに対応するため定額及び定期で当社の扱う先進的な技術を用いたソリューションを利用できるサブスクリプションサービスを提供しております。

② Service&Support

Service&Supportは、当社が提供する全てのソリューション(ハードウエア、ソフトウエア、構築ノウハウ)に対してハードウエアの保守だけではなく継続的な環境のアップデートを通して、常に最新で安定したシステムとして利用頂くためのオプショナル運用支援サービスです。
具体的には、ハードウエアの保証の他、サポート問い合わせ、メンテナンスパーツストック、オンサイト保守(出張保守)、パフォーマンスベンチマーク(注26)、利用環境アップデート、プライベートレクチャーの提供を行っております。これにより顧客はシステム環境の保守・運用に顧客自身のリソースを割くこと無く、常に最新で安定した状態で稼働できるシステムを利用可能であり、本来の業務に専念して頂くことが可能となります。
当社の顧客は研究開発を行っている顧客が多く、システムの安定稼働とダウンタイム(注27)の短縮は重要な顧客ニーズとなっています。これらのニーズに沿ったソリューションとして、この「Service&Support」を提供しております。

(2)当社のビジネスモデルについて

当社の「①DXサービス」のうち、「a. AI・ビジュアライズソリューションサービス」及び「b. その他DXソリューションサービス」はフロービジネスであり、「①DXサービス」のうち「c.サブスクリプションサービス」及び「②Service&Support」はストックビジネスであります。
「a. AI・ビジュアライズソリューションサービス」及び「b. その他DXソリューションサービス」を提供している顧客に対して、「②Service&Support」を併せて提供することにより、フロー売上に加えてストック型の売上を計上しております。

(3)当社の事業の特徴について

①パートナーシップ

当社は半導体のグローバルコンピューティングカンパニーであるNVIDIA社、Intel Corporation(以下「Intel社」という。)、Advanced Micro Devices, Inc.(以下「AMD社」という。)、XILINX,Inc.(以下「XILINX社」という。)からパートナー認定を受けております。
パートナー認定を受けることにより、以下のメリットがあります。

  • ・各グローバルコンピューティングカンパニーが主催するトレーニングを受講することができるため、最新の技術情報をいち早く取得することが可能となり、それに基づいた企画・設計のご提案を行うことができるようになります。
  • ・各グローバルコンピューティングカンパニーとの共同プロモーションやそれに伴う販促支援金、セールスリベートを受けることができます。
  • ・認定パートナーのみに適用される特価で仕入を行うことができます。
  • ・各グローバルコンピューティングカンパニーから顧客の紹介を受けることができます。
  • ・各グローバルコンピューティングカンパニーのホームページ等に認定パートナーとして当社社名が掲載されることで、集客等の効果を得ることができます。

なお、商材については各グローバルコンピューティングカンパニーの国内代理店から購入するスキームとなっております。

②ストックビジネス化による正のスパイラル創出

導入支援のみならず、「Service&Support」を通じた運用支援を行うことにより、当社のサービスを顧客に享受頂き、それが満足度の向上となり、次のフロービジネス(DXサービス)の案件創出へとつながります。そして更に新たな「Service&Support」へつながるという、“正のスパイラル”が当社の価値となっております。
2022年5月期におけるService&Support売上高比率(注28)は9.2%となっております。

用語解説

用語の定義について以下に記します。

用語 用語の定義
(注1)AI Artificial Intelligenceの略で、学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピューターシステムのこと
(注2)ビジュアライゼーション/ビジュアライズ XRやメタバースも含め視覚化・可視化のための技術の総称のこと
(注3)ビッグデータ 従来のデータベース管理ツールやデータ処理アプリケーションでは記録や保管、解析が困難な大規模かつ複雑なデータの集合のこと
(注4)グローバルコンピューティングカンパニー NVDIA社、Intel社、AMD社、XILINX社などの、グローバルに展開している大手の半導体のカンパニーのこと
(注5)グローバルベンダー 世界各国のハードウエア・ソフトウエアベンダーのこと
(注6)オンプレミス コンピューターシステムを利用者側で保有・運用すること
(注7)サブスクリプション 一定期間利用できるサービスに対して、定期的な対価を支払う仕組みのこと
(注8)Deeplearning 深層学習とも呼ばれる、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化したAIの手法のひとつ
(注9)学習 沢山のデータを与え法則性を見出しAIモデルを構築する作業のこと
(注10)ワークステーション 計算用や描画用など利用用途に特化した性能を持つ一般的なパソコンよりも高性能なコンピュータ
(注11)推論 AI学習で構築したAIモデルを利用し予測や推理を行う作業のこと
(注12)エッジ端末 IoTで使用される末端の機器のこと
IoTとは、あらゆるものをインターネットに接続して互いに連動しあうシステムのこと
(注13)アプライアンスサーバー 特定の用途・役割を担うことに特化したサーバーのこと
(注14)CAD Computer Aided Design コンピュータを用いて設計や製図を行うこと
(注15)CAE Computer Aided Engineering コンピュータを用いて工業製品の設計やデザインを行うこと
(注16)デジタルサイネージ 大型の液晶パネルなど電子表示装置を使った広告や広告装置のこと
(注17)Omniverse Omniverseはビジネスメタバースとも呼ばれているサービスで、設計や計算、そしてデザインなどのクリエイティブな仕事を仮想空間上に複数の人が集まり同時に作業行い、結果を共有できるサービスであり、2022年から提供が開始され現在様々な利用用途について概念実証作業が始まっている段階です。
(注18)高速大容量ストレージ 解析、高速計算、シミュレーションなど高いマシンスペックが要求される作業に利用されるストレージのこと
(注19)広帯域ネットワーク 通信回線が高速なサービスのこと
(注20)仮想化 ハードウエアの物理資源を擬似的に分割する技術のこと
(注21)ベアメタルクラウド 仮想化せずに物理サーバーをクラウド上で使用する仕組みのこと
(注22)ハイパーバイザー 1台の物理コンピュータを論理的に分割し複数のコンピュータとして稼働させるための基本ソフトウエアのこと
(注23)スケーラビリティ システムの規模の変化に柔軟に対応できる度合いのこと
(注24)HPC High Performance Computer 又は High Performance Computing の略で、一般にスーパーコンピュータ又はスパコンと呼ばれる超高速演算用コンピュータによる計算処理環境(計算処理技術)のこと
(注25)アーキテクチャ コンピューターシステムの設計方法、設計思想、構築されたシステムの構造などのこと
(注26)パフォーマンスベンチマーク コンピュータやシステムの性能がどのくらいかを測る作業のこと
(注27)ダウンタイム 機器やサービスが止まっている時間のこと
(注28)Service&Support売上高比率 売上高に占める、Service&Support売上高の割合を指します。

グローバルコンピューティングカンパニー別のパートナーシップ制度のうち、NVIDIA社、Intel社及びAMD社の内容としては、以下のとおりであります。

NVIDIA社

12種類のパートナータイプ(事業内容)と10種類のコンピテンシー(製品を取扱える能力)の組み合わせとなり、その組み合わせに対して「Elite」「Preferred」「Registered」の3つのパートナーレベルが設定されています。
パートナーレベルの認定条件は販売実績やトレーニングの受講単位に応じて認定され、当社は2つの組み合わせで「Elite」、3つの組み合わせで「Preferred」の認定を受けております。

Intel社

Intel Partner Alliance Programに参加登録した企業を対象に、販売実績やトレーニングの受講単位に応じて「チタン」「ゴールド」「メンバー」の3つのパートナーレベルが設定されています。当社は「チタン」の認定を受けております。

AMD社

AMDパートナープログラム参加の企業を対象に、販売実績や活動状況に応じて「ExecutiveElite」「Elite」「Select」の3つのパートナーレベルが設定されています。当社は「Elite」の認定を受けております。
2023年4月現在の当社及び日本GPUコンピューティング有限責任事業組合(以下「LLP」という。)がNVIDIA社から認定を受けているパートナー種別及びそのパートナーランク並びに当社と同等以上の認定を受けている社数(国内)は以下のとおりであります。

当社
LLP
グローバル
コンピューティング
カンパニー
パートナー種別 パートナーランク 当社と同条件以上の
認定を受けている社数
(当社含む)
当社 NVIDIA社 Solution Provider Partner
NVIDIA Omniverse
Elite 1社
当社 NVIDIA社 Solution Provider Partner
Visualization
Elite 2社
当社 NVIDIA社 Cloud Service Provider
NVIDIA AI
Preferred 3社
当社 NVIDIA社 Cloud Service Provider
DGX AI Compute Systems
Preferred 2社
当社 NVIDIA社 Cloud Service Provider
Compute
Preferred 3社
LLP NVIDIA社 Solution Provider Partner
DGX AI Compute Systems
Elite 6社
LLP NVIDIA社 Solution Provider Partner
Compute
Elite 9社
LLP NVIDIA社 Solution Provider Partner
NVIDIA AI
Elite 8社
LLP NVIDIA社 Solution Provider Partner
Networking
Preferred 20社

事業系統図

以上述べた内容を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

↑